3人のインド人とドミトリーで過ごした1週間の思い出話
バンコク来てから早くも3週間が経過。男の繁華街ナナの中心にそびえるウチのホステル(ゲストハウス)は1泊料金が200~400バーツと周辺のホステルに比べても超激安
立地も良いし、内装も結構清潔、短期長期にも利用しやすい設備が揃っていて、連日色んな人が利用していく人気店だったりする( ˘ω˘ )
特に、ヨーロッパや南米といった遠距離の人が多いことにビックリ!
この理由にはLCCの発展があるんだって、皆LCCを使って転々としながらバンコクに着いているみたい
フランス、オーストリア、ベルギー、ドイツ、フィンランド、ノルウェー、トルコ、エジプト、イタリア、スペイン、チリ、ブラジル・・・・などなど。他にも多数の外国人と、この短い期間で出会うことが出来た。
そして今日お話ししたいのはとあるインド人達のお話
このホステル滞在の最初の1週間、僕は3人のインド人と相部屋で過ごしたんだけど彼らとの思い出話をちょっとしてみたい
マイファーストインド人
インド人を一言でいうなら?
それは、バイタリティーとパワーの塊。←全然一言じゃないっていう
明るくて(うるさいとも取れる)
親切で(おせっかいとも取れる)
遠慮しない(その通り)
今でも記憶に残ってることがあって
十数年前、人生で初めてヨーロッパ行った時のこと。成田発のKLMオランダ航空でアムステルダムへ向かう飛行機に、30名を超えるインド人の団体客がいた
飛ぶ前からとにかく喧しくて、みんな席をあっちいったりこっちいったり( ゚Д゚)
乗務員が席に着けと一人一人に指示してやっと離陸。
と思ったら即立ち上がる人や写真撮影する人が出て、またしても乗務員が注意をする・・・それでも彼らは笑顔なんだよなぁ、悪気のない子供のよう
そして離陸から数時間すると席なんてほとんど関係なし、非常口のスペースのところで車座になって座り5名位でかたまってお喋りしたり、喧嘩してるのか?と思うくらい言い争っていたり、メシが美味しくないから変えろだのもう一つ頂戴だの、あれ?ここニューデリーか?と思わせるほどのインド感満載
インド映画らしく最後は全員で踊ってくれればいいもの見れたと自慢できるんだけど、やはりそれは無く、着陸までずーーーーっとフルスロットルでお喋りする元気な彼らでした( ˘ω˘ )
それが生まれて初めての、僕のインド人とのファーストコンタクト
カーンとの出会い
正直その時のインパクトが強くて、インド人と相部屋ということが分かった瞬間はすげー嫌な予感がしていた。しかも3人。ヒイィ
滞在しているホステルにはいくつかの相部屋の形態があるんだけど、僕のいる部屋は一番格安の6名部屋。それでも6名という人数はドミトリー形式では普通かまだ少ない方、10名部屋とかザラにあるからねぇ他は・・・
ただし部屋が狭くて、スペースがあまりない。そこに2段ベッドが3つ置かれていて他の旅人と共存するわけです。
初日、部屋に入ると先客としていたのはフランス人女性・・・・女性!?と思った方、こういう安い部屋は男女共用。いわゆるミックスタイプなんです
彼女はLCCで東南アジアを旅していて、これまでも日本、台湾、香港、ラオス、ベトナムと渡り歩いてきたんだそうな。うわぁー旅人の大先輩やん!
翌日にはカンボジアに行くと言っていた彼女、1人なのに怖くないの?と聞くと「アナタだって1人じゃない(笑)」と笑顔で一蹴、男とか女とか全然気にしてないみたい。こんな華奢で美人なのに豪快な性格だ
他の空いている4つのベッドを見て、まさか6人部屋で2人っきりってことないよな・・・と若干ドキドキした気持ちは正直ありますハイ
そんな思いは杞憂だった。15時頃、最初の同居人となるインド人、カーン(仮名)が来た
ちょっと細身で目がギラギラとしていて、最初はネパール人かなと思ったけど、互いに挨拶交わしたときに思いっ切り豪快なインド訛りの英語で「おれはインド人だ!インド、知ってっか!?来たことあるか?」とやはり元気だった
部屋は寝るだけみたいなところなので、みんな普段はソファやビリヤード台などがあるホステルの1Fで過ごしているんだけど、下りるとさっそくカーンがスタッフと何か言い合ってる・・・どうやらホステルで売っている水が冷たいから取り換えてって言っているようだ(笑)
タイ人のスタッフからすると初めて言われた事のようで、どうして常温水を欲しがっているのか理解できない様子だった( ゚Д゚)
その後カーンは夕方から姿が見えなくなった、多分出掛けたんだろう
それと入れ違いになるように2人目の同居人のクマール(仮名)がチェックイン、クマールは小太りで鼻の下には立派なおヒゲ、と典型的なインド人スタイル。貫禄ある風貌からオッサンだと思われてたけど、彼はまだ30歳だった
どうやらこの2人のインド人、別々でやってきてたまたまウチの部屋に相部屋になったみたい( ゚Д゚)
インドとか中央アジアの人らって、いつも団体で旅行しているイメージがあっただけに、へぇ1人でも旅行するんだーと思った。事実その後も一人旅をしてるインド人には会ったことが無いので、この時のイメージはあながち間違ってなかったのかも
小太りクマールは電話が大好き
ドミトリーの醍醐味は、何といっても色んな宿泊客との交流だと思うけど、それよりも切実な問題は相部屋に誰が来るかという事
それによって本当に天国にも地獄にもなるし、特に合わない人と長期で一緒になるとマジで精神病みそうになる。よくあるのがイビキ問題で、イビキストが宿を離れるまで個室へと追加料金払って移動する客もいる( ˘ω˘ )
初日、小太りのクマールはチェックインからずっと部屋に引きこもって家族とスカイプをしていた。後から分かったけどクマールはその後10日くらい滞在する、こういう中期滞在者は時間があるから、こういった何もせずどこにも行かずという観光客と真逆の一日を過ごすこともよくある
夜になってもクマールの電話は続いていて、ベッドで横になってゴロゴロしながら「アロー?アロー?」と断続するWi-Fi環境に嫌な顔ひとつせず家族とおしゃべりをする。インド人は話が大好きなようだ。
僕が外で晩飯を済ませ部屋に戻ると、常温水のカーンもそこにいた
これで部屋にインド人が二人・・・・あぁ、きっとまた喧しくなるんだろうなー・・・って思ってたけどアレ?この二人全然会話しない( ゚Д゚)???
カーンのベッドは僕の上、クマールは2mしか離れてないベッドの上
絶対お互いにインド人だと認識しているはずなのに、カーンはこっちばっかり話しかけてくる「バンコク詳しい?俺はアフリカとバンコクとインドで宝石関係の仕事してるんだ」と相変わらず常温水を飲んでいる
この時は僕もバンコクはおろか泊ってるところの周辺すら分からなかったので、全然分からないと返事するとオーケーオーケーとまたどこかへいってしまった。で結局カーンはこの日帰って来ず、翌日の昼に顔を合わせた。いったいこんな時間までどこ行ってたんだか( ˘ω˘ )というよりなぜインド人同士で喋らないのか・・・・不思議だった
そして深夜1時
まだクマールが電話してる。
しかもイヤホンとかじゃなくスピーカー通話で話しているからまぁウルサイ・・・
電話の相手はどうやら小さな女の子の声だったので、もしかしたら娘さんなのかな。と思い、まぁ今日くらいは大目に見ようと耳栓を耳の穴にぶち込んで、ブランケットを頭から被り就寝。
この時フランス女性は全く気にもしてないのか、背中をクマールのベッドの方に向けてスースーと寝息を立てて寝ていた。さすが旅慣れしてらっしゃる( ˘ω˘ )
最臭兵器馳せ参じる
翌日
3人目のインド人、カプール(仮名)がチェックイン
まさか別々で来た3人の同国人が同じ部屋に入るとは・・・団体客じゃないのにこれは結構珍しいパターン
カプールは背の高いがっしりとした体格の持ち主、英語があまり得意じゃないのかこちらが話しかけてもあまりお喋りしたがらない( ゚Д゚)えぇっこんなインド人いるの!?っていうくらい大人しくて、1Fのソファでも一人で座ってニコニコとビリヤードに興じている人達を眺めている、そんな人だった
その日の夜、フランス人女性はすでにカンボジアへ旅立っていて入れ違いに日本人の男性K君が部屋に来た。(彼とはその後も仲良くて、よく一緒にご飯いったり飲みに行ったりする仲になる)
で、その日部屋に入って何か違和感が・・・・あれ?臭い、異常にクサイぞ部屋が( ゚Д゚)
犯人はカプール
実は彼は危険レベル9の足クサ(靴も含む)の持ち主だったのだ!
※この2週間後にレベル10のヨーロピアンに出会うとはこの時まだ知らなかったけど・・・
これがドミトリーの洗礼か
部屋が物凄い悪臭・・・・いちおう小窓はあるものの、開けたとて全く変化なし
エアコンのファンをマックスにしても、ただただ臭いが循環するばかりでかえって悪循環。鮮度の良い悪臭が風に乗って降り注ぐだけ・・・
アイコンタクトでK君と2人、1Fへ避難し作戦会議開催
実は彼、世界40カ国以上を旅しているガチの旅人で、こういう場合はどうしようもないと半ば諦めていた( ゚Д゚)w
いわく「イビキ、歯ギシリ、悪臭は本人の意思ではどうしようもない事だから、それが嫌な人はドミに泊まるべきじゃない」っていうのが旅人の暗黙の了解のようなものらしい
しかしこのまま何の対策もしないのは自殺行為なので、こういう場合の対処法もK君から伝授してもらった。それがこれ
タイでは結構な割合で使っている人がいる「ヤードム」と呼ばれる嗅ぎ薬。リップクリームのように見えるけど、実際には鼻にブッ挿して使うので唇に塗ってるの見られると恥かきます
トゥクトゥクやバイクタクシーの運ちゃん、警備員、露店のおばちゃん。など、これを鼻に挿しっぱなしで仕事している姿を見ることもよくある、ある意味タイの名物みたいなものです(笑)
これしか防ぐ方法はない、と近くのセブンイレブンで2個購入。人の鼻腔は2つあるからね・・・ダブルですよダブル( ˘ω˘ )
そしていざ決戦
戻っても相変わらず部屋は臭く、5分もいると吐き気がしてくる(なんで他のインド人2人が普通なのかが不思議)
ヤードムを開封し鼻に挿し込む、強烈なメンソールが鼻腔を貫く!
・・・いやこれはこれでキツイ!( ゚Д゚)!めちゃめちゃ鼻水も出てくるし、横になりながらの挿しっぱは拷問に近い
よし、片方だけにしよう。それからある程度吸ったら効果が持続しているうちに外して寝てしまおう
その作戦で立ち向かう事1時間以上、いちおうその日はいつの間にか眠りについていた・・・っていっても寝たのは3時くらいだったと思う。
そして向こうのベッドでは両方の鼻の穴にヤードムをブッ挿して寝ているK君が見える、マジで達人。これくらいの胆力が無いと世界は回れない( ˘ω˘ )
カーンの不思議な癖
翌日
朝から周りがやたらうるさい
ふと見ると僕のベッド(足元周辺)にカーンが荷物をドサドサと置いてるじゃないか・・・・おーい俺はここにいるぞー、寝てるんだぞー
「おはようzzz・・・何してんの?」
昨日の悪臭バトルのせいでこっちは睡眠不足、せっかく眠ってたのに何故コイツは人の寝てるベッドを作業台として使ってんだ
「おお!おはよう!出かけるから今準備してんだ!!」
いやそういうこと聞いてんじゃねー!( ゚Д゚)
寝てる人のベッドで荷物をまとめる。インドではアリなのか?もはや止めてとも言えず、無視して寝ることにした。ら
「マーケットに行くけど、一緒行くかい!?」
「ノーサンキュー・・・寝るよ俺は・・・( ˘ω˘ )」
「ところでマーケットは行った事ある!?」
「・・・・・・・」
耳あるのかコイツは( ゚Д゚)!付き合ってたらずっと喋ってきそうだから、会話のキャッチボールを一往復半で強制終了。だいたいこんな朝からどこのマーケット行くんだ・・・どこも開いてないだろ。まさか出店側か???
とそんな事を考え出してしまってさらに寝れず
仕方ないので横向きになりヤードムをスースーしながら精神統一を図る。そんな朝でした
インド人らしくないカプール、涙目
そして夕方
この日の日中は僕も含め、全員が何らかの観光や用事で一日中外出していたらしく、夕方の同じ時間帯に皆戻ってきた。
カーンは沢山の荷物をもって帰ってきて、部屋の大部分を使って荷物整理している。もはやこの男に共有スペースという概念は無さそうだ
大人しい足クサのカプールは帰ってくるなりベッドで夕寝、しかも気を付けの姿勢で手足も真っすぐの素晴らしいフォーム。ブランケットも被らず寝ている。ミイラみたい
クマールは今日もやはり家族と電話をしている
この3人まるで漫画に出てきそうなくらいキャラが立っている、さすがインド人だわ。そう思いながら迎えたこの日の夜。足クサのカプールに悲劇が訪れる
夜の12時を回った頃だったか、今日はクマールが早々と電話を終えていてさっそく眠りに着こうとしている。良かった、今日は悪臭さえ気にしていれば何とかなりそうだ・・・
が、数分後
ンゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
地響きのようなイビキの始まり始まり~ 犯人は・・・
クマールーーーー!!!( ゚Д゚)
小太りでヒゲのオッチャン、そうか・・・イメージ通りのイビキストじゃないか。昨日は足クサに気を取られていたけど、もしかしたら僕が爆睡している時にはすでに爆音だったのかもしれない。
だがしかし、僕はイビキには一応の耐性があった。それに耳栓と耳まで覆うアイマスクもあったから、それである程度は軽減も出来た
鳴りやまないイビキが部屋中に響き渡る
そういえばクマールのベッドの下にはカプールが寝ているはず、彼は大丈夫だろうか。と目をやると、そこには変わらず真っすぐな姿勢のカプールが見えた。さすがだ、これくらいでは動じない胆力を持っている。
がしかし何かさっきと様子が違う、よく見ると寝姿が一直線の真っすぐではない
薄明かりの中、目を凝らしてよーく見てみると
両手の人差し指を両耳につっこみ、耳栓代わりにして目を閉じているカプールがそこにいたw( ゚Д゚)
青空の下、両手を枕にして芝生に寝転がっているかのようなポーズ
しかしその腕は、スッと一直線に耳へと伸び、雄ネジの如き人差し指は確実に耳の穴へとインサート!
カプール・・・・君はインド人なのに何故そんなに繊細なんだ(涙
足は殺戮兵器なのに。
クマールのイビキの下、必死にセルフ耳栓でじっと耐えてるカプール
それを足元から見つめるワタシ。神様ってこんな風に世界を見ているのだろうか( ˘ω˘
シヴァの化身現る
翌朝
またしても寝ている僕の足元にカーンが荷物を置きだした
もう今日は完全に無視!本当は目覚めたけど気付かれないよう知らんぷり
しかしこの男は昨夜の悪臭と爆音の中よくスヤスヤ寝られるもんだ。まさにインド人の鑑、ちょっとはカプールの繊細さを見習ってほしいもんだ。結局カーンは今日も朝からパタパタとせわしく出掛けて行った
セルフ耳栓をしていたカプールはすでにベッドにおらず・・・もしかして眠れなかったのだろうか( ˘ω˘ )1Fの共用キッチンカウンターの隣のソファで一人インスタントコーヒーをすすっていた。
クマールは昼過ぎまでずーーーと寝てた。いくらなんでもちょっとは出掛けろよクマール
そして、この日の夜ちょっとした騒動があった
実は昼間、スウェーデンから来た6人組の若い男性客が隣の部屋に泊まりに来ていた
ホステルのあるナナという場所は、酒と女しか無いといっても過言じゃない場所で、訪れる男達のほとんどはそれ目的。それっていうのは買春のことね( ˘ω˘ )
いわゆるゴーゴーバーと呼ばれる連れ出しバーから、路上で立ちんぼしている人、エロマッサージ屋まで。下半身の欲求を満たすサービスが満載な街でございます。
そんな場所なだけに、エロ目的でこのホステルを拠点にする人も多くて、結構若い人達が泊まりに来る。スウェーデンの彼らも間違いなくそうだろう
(ちなみにホステルでの性行為関係は絶対禁止で、そういう女性達はホステルに入れない。ソッチ系のサービスは女性のシマのホテルでやることになっている)
日も暮れた頃、そのお隣さん達が団体でお出掛け。皆オシャレしちゃってヤル気全開オーラが全身から溢れ出ている( ゚Д゚)
ああいう連中には嫌な予感しかないっす、とベテランのK君がポツリとこぼす・・・・だいたいこういう場合、遅くに帰ってきて部屋でパーティをしたり、女性を連れ込もうとしたりしてスタッフとトラブルを起こすらしい。これまで何十回と見てきたそうだ
そして深夜3時
K君の予想通り、連中がガヤガヤと大声を出しながら2Fへ上がってきた( ˘ω˘ )
それはもう事前の想定を超えるくらいメチャクチャうるさくて、部屋でもワーワー言ってるしウチの部屋のドアの前の廊下でも喋ってる人がいる
まず速攻で怒りを表したのは2Fのもう一つの部屋にいた、家族で来ていたヨーロピアンのパパさん。僕は部屋の中から聞き耳を立ててたからよく分からなかったけど、とにかく自国語で何か怒ってる。まぁ誰だって怒りますわ
すると静かになって、朝まで大人しくしてくれました・・・なんてそんな甘くはない。
15分位してまたワーワーが始まった、静かだったのはシャワールームでシャワー浴びてたからだった( ゚Д゚)
さすがに騒ぎっぷりがひどかったので、K君と2人で部屋のドアを開け、廊下にいる2人組にマジで静かにしてくれと哀願に近いクレーム。こういう場合強く言うと焼け石に水なので、やや下手に出てみる。
それにこの2人とは昼間に少し自己紹介をした間柄、なのでいちおう顔見知り
あぁゴメンねーとバツの悪そうな顔をしてこの2人は部屋へと入って行った、これで丸く収まってくれればいいが・・・・
そうは上手くいかないのがホステルの怖いとこ( ゚Д゚)
それでも騒ぎは一向におさまらず、まーだゲラゲラと盛り上がっている。こいつら絶対ストリップバーあたりで面白い事でもしたのだろう、言葉は全く分からないけど今夜の思い出話で盛り上がっているのが何となく想像できた。
はぁ・・・もう一回言っても絶対聞かないだろうな
薄いブランケットの中でそう思っていると、突然「§Δ!×ΘΔΨΨω#$ !!!!」とブチ切れた様子でヒンディー語を喋り、ベッドから飛び起きた勇士が現れた!
クマール。彼である
いつも寝てばかりだから寝ているのを邪魔されるのは許せないのか、部屋を出ると隣室のドアをズドドドドドドドドドドドンと連打。30コンボだドン!
ドアドンの連打が決まったとたん、急に・・・・シーン。と隣の部屋が静かになる
が、クマールは手を緩めない!さらに強く激しくドアを壊さんばかりの勢いでノックと言う名の殴打。
ガチャ・・・・とドアが開く
「今何時だ!!!夜だ!!!皆寝てるんだぞ!!!」と超絶インド英語でまくし立てる、するとスウェーデンボーイがこれに何か言ったようで、さらにヒートアップ
クマール「Shut up !!!! you! you! you! All shut up !!!」
と非常に分かりやすい英語炸裂、普段温厚な彼も若造の無作法には堪忍袋の緒が切れたようだ。
騒ぎをきいて家族ルームのパパさんも、僕らもドアから様子を見る(これは後方ガン飛ばし部隊という立派なお仕事です、ただの野次馬とは違います・・・)
それが効いたのか上半身裸のスウェーデン人達は、分かったよといったジェスチャーをして鬱陶しそうにドアを閉めた。
鼻息荒く部屋に戻ってきたクマール、首を横に振りながらまたヒンディー語で何か言ってる。きっと悪態ついてんだな、何言ってるのかは分からんけど( ˘ω˘ )
そしてここからがインド軍団の真骨頂
その後ちょっとでもスウェーデン人が喋ろうものなら、すぐクマールがドアドン!
明らかに声のトーンを落として一言二言ひっそりと話しているんだけど、声が聞こえるなり構わず毎回ベッドから起きだしてドアドン。しかもこのドアドンからはカプールまで参加( ゚Д゚)!
いやアンタの場合は靴を投げ入れるだけで十分なのに!
正直隣の部屋のヒソヒソ声より、こっちの2人のドアドンするための音の方が大きい
もはや開戦の理由など誰にも分からなくなってしまった隣室同士の争いは、このあと1時間は続くことになった。
ここまでされるとさすがの若者達も沈黙(というか諦め)
さすが戦争&破壊の最強神シヴァをあがめるインド人。味方にするとこれほど頼もしいとは、インド人万歳!インド人最高!!
そして興奮冷めやらぬ翌朝
またしてもカーンの荷物の音で目覚めた
てかお前いたんかーーーーい!!!( ゚Д゚)
インド人に生まれるという事
この日、クマールが珍しくオシャレしていて、黒いシャツに黒パンツというフォーマルなスタイル。どっか行くの?と聞いたらスマホの写真を見せてきて、この場所を知らないか?と尋ねられた
写真は寺院の写真で、すぐにワットアルンだということが分かった
「ワット・・・アルン・・・」とアルファベットでクマールのスマホに打ち込むと、すぐに分かったらしく、これからここに行ってくると言っていた。なるほどそれで昨夜はあんなにエキサイトしてたのか、今日出掛けるから(笑)
しかし時刻はまだお昼、ワットアルンは夕方行くと綺麗だし、涼しくていいと思うよとクマールに伝えると「そうなのか、じゃあ少し下で待つ」といって1Fへ下りた
僕はこの日外出する気も無かったので、せっかくだからクマールと話をしてみた。
クマール「ところでインドは行ったことある?」
僕「ないよ、K君はあるって言ってたけど僕は無い」
クマール「是非オススメだよ、きっと気に入るよ!旅が好きなんだったら!来る予定はない?」
僕「うーん今のところ無いなぁ」
クマール「絶対絶対絶対来て、案内するし俺んち泊ればいい、そしたら金もかからん」
僕「(メチャ推すやん!)でもインドは人が多くて、それが嫌だなぁ」
クマール「・・・・確かに・・・・(ションボリ」
こんな小学生みたいな会話をするオッサン2人。てかクマールは僕の事を20歳代の若き旅人だと勘違いしている節があった。ごめんクマール、ワイもうすぐ35歳。インド行く元気はちょっと無い( ˘ω˘ )
でもこの会話で、僕が人が多いのが苦手ということを聞いて、クマールが言い放った言葉が今でも印象に残っている
「インド人は生まれた時からずっと集団生活」
(ここから先の会話の内容は正確に訳せてなくて、だいたいこんな事を言っていた。くらいの感じです)
現在はインドのムンバイに住んでいるクマールは、元々田舎の方の出身で親族も同じ家で暮らしていて10数名の大所帯だったそうだ。自分の部屋なんぞもちろんなく、ご飯は全員一緒に食べるのがルール
学校も友達と一緒に手を繋いで行き(インドでは男友達と手つなぐの普通なんだって)
その学校も物凄い人数らしくてクラスはぎゅうぎゅうだったそうだ
ムンバイに来てからは列車が地獄絵図のような満員で、死を覚悟することも何度もあった。実際に何回か線路に飛び降りたこともあったらしい
(ムンバイの列車問題は相当深刻らしく、調べてみると毎日平均10人は死亡している( ゚Д゚)毎日ってあんた・・・・)
そしてこの動画を見ればそのヤバさが分かるはず
とまぁこんな具合に人生を歩んできて
一人の時間はトイレに行った時くらいかな。とクマール大先生( ゚Д゚)
もちろん日本人だって集団生活って普通にあるけど、インドと比べると周囲の人の数が違いすぎる。しかもインドの場合はその距離感も近そうだし、本当に濃い~集団生活なんだろう。そしてそれが一生続く、それがインド人、インディアンスタイル。
彼らのバイタリティの高さはこういう所から来てたりして・・・・( ˘ω˘ )
だからクマールは寂しいから毎日奥さんに電話してるんだって
けっ、ノロケやがって
さらばカプール、君の残り香は完全に消したぞ
とまぁこんな具合でインド人3人との共同生活を過ごしてたわけです
他のエピソードとしては、部屋に帰ると大音量でインドの音楽が流れていたり、クマールがスカイプ中に突然画面越しに奥さんを紹介してきたり、僕が写真を撮るのが趣味だと聞いたカーンが、どこから仕入れたのかA4サイズの写真プリント用の紙?の束を僕に売りつけようとしたり・・・
今思えばインド式修学旅行って感じな日々でした( ˘ω˘ )
そして最初に足クサ大臣のカプールが部屋を後にした。一番謎多きインド人だったけど寝てる人がいる時には音を立てないようにしてくれたり、部屋のゴミを拾ってゴミ箱に捨てたりと、気配りの出来る良い人だった。どうやら次はチェンマイかチェンライ辺りに行くようで、またどこかで会えたら良いねと言い残して去って行った。
図体は大きいけど繊細なカプール。思い出のほとんどは足の臭いだけど、今頃元気してるだろうか。
カプールは夜の飛行機に乗るため夕方にホステルを出て行った、カプールのいたベッドではさっそくカーンが衣服を広げて畳んだりシワを伸ばしたりしている
「やっぱ下のベッドの方が便利だ!」
ナニソレ、俺への嫌味かこんにゃろ( ゚Д゚)
さんざん毎朝足元のベッドスペース貸してやっただろ、この男どこまでもブレない
その日の夜、悪臭が部屋から消え、久しぶりに澄んだ空気が戻ってきた
ごめんよカプール、君の臭いのお土産は勘弁。実はすぐに清掃スタッフから消臭剤スプレーを借りて、部屋全体をスプレーしました( ˘ω˘ )成仏してくれカプール臭
電光石火の男、去る
翌朝
いつもは僕が寝ているベッドを(遠慮なしに)使って荷物整理をしていたカーンが、この日はカプールのベッドで荷物をまとめていた。おぉ進歩してるじゃない
いつものように「おはよー」と挨拶をすると
「お!おはよう!!俺これからインドに帰るから!!元気でな!」だって
エェエエエエー!
あんたそんな朝から何言ってんの唐突に( ゚Д゚)
だったら一言くらい昨日の夜にでも言ってくれればよかったのに・・・
慌ただしさはいつもと変わらず、あっという間にカーンは荷物をまとめて帰宅の準備を済ませた
「あとこれ、もう使わないからあげるよ!」
そう言われて貰ったのは、カーンが滞在中にずっと履いていた黄色いサンダル・・・
い、いらねぇ~( ゚Д゚)
正直全く要らなかったけど、勝手に僕の靴の上に置いてったのでしょうがないから貰う事にした。ちなみにそのサンダルは今でも持ってます、やっぱ使ってはないけど(笑)
「じゃ、バーイ」とだけ言い残し、全く振り返ることも忘れ物を確認することも無くササッとカーンは去って行った。相変わらずスピード感のあるやつだ、思えば一番典型的なインド人らしいインド人で、周りの人をブンブン振り回すタイプだった。が、何故か悪気が感じられないだけに嫌いになれない、そんな人だった。
続けざまに2人の同居人が去っていき、ちょっとだけ部屋が寂しくなった
念のためクマールに、いつまでバンコクにいるのか聞いたところ、3日後には彼もインドへ戻るそうだ。
出会いと別れを繰り返す、それが人生
そしてインド人2人と入れ替わりで、部屋にはまた別の人が訪れた。今度はベトナム人3人組の男子大学生
この子らがまた僕ら同居人にすごく気を使ってくれて、夜は外でワイワイやってても部屋に入るとピタっと喋るのを止めるし、スマホ使って動画を見たり電話をするときも、ちゃんとイヤホンを着ける。
無論、人が寝ているベッドに荷物を置いたりはしない
そして夜はクマールのイビキで全然眠れないらしく、3人ともいつも昼過ぎまで泥のように寝ていた(笑)まさにアウェーの洗礼
そしてそんなクマールともとうとう別れの時がやってきた、インドに帰れるのが嬉しいらしくやたらとテンションが高い( ˘ω˘ )それでも旅人か
「ムンバイに来ることがあれば絶対連絡して」と互いの連絡先を交換
クマールのスマホの待ち受け画面、ホーム画面は家族の写真で、スワイプするとワットアルンの写真になっていて、ちょっと嬉しくなった。
クマールを見送った後、部屋に戻るといつものように清掃スタッフが空いたベッドを片付けていた
あぁとうとうあのインド人達は全員いないのか、なんだか静かな部屋に少しの違和感と寂しさを感じました。
おわりに
あれから2週間、ホステルは相変わらずの賑わいで、この部屋も毎日誰か1人は違う人が入れ替わり立ち替わりする状態、全く喋らずに1泊だけして出て行った人もいたくらい。結局あのインド人3人組のように1週間滞在した人は1人くらいしかいなかった。
今頃あの3人は何をしてるんだろう
明るくて、ウザくて、クサくて、おせっかいで、お人好しで、自慢話が好きで、家族が好きで、元気で、静かで、人に気使わなくて、距離感近くて、最高のインド人
バンコク滞在の最初の1週間をコイツらと過ごしてしまったために、その後がちょっと退屈で何か物足りない気がするのは、きっと気のせいじゃないはず
そんな3人のインド人のことをふと思い出したので、今日は書いてみました
インド。いつかは行ってみようかな( ˘ω˘ )
ご一読ありがとうございました。