ぶらり沖縄人

沖縄ではなく、沖縄人がぶらぶらしてるようです

首里城公園の夜を歩く 那覇市首里

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那覇市首里に在り、那覇の街を見下ろす場所にある「首里城」

 

沖縄がまだ琉球とよばれるひとつの国であった頃、これを統治していた城がこの首里城だ。

 

本土のお城とは全く異なる外見を持つ城に、ここがかつて中国との貿易で栄えた琉球国であった名残を思わせる。城の門や装飾は、明らかに中国文化から伝来したと思われる造りだからだ。

 

どちらかといえば戦(いくさ)のための城ではなく、政(まつりごと)を行うための城であったようだ。今でいう永田町のような存在であったのだろう。

 

さてそんな首里城。幾度となく再建や復元作業が行われ、一時は沖縄戦によってボロボロになってしまったが現在は見事なまでに修復されている。そして2000年には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」のひとつとして世界遺産に登録されるのである。

 

これを機に観光名所としても盛んになり、さらに時期的にも海外 特にアジアからの旅行客(台湾・中国・韓国)が増えたこともあって、今では国内海外旅行者を問わず沖縄の主要な観光スポットになった。

 

さてそんな首里城にもうひとつの顔があるのをご存知?

 

入口は多数存在、そのため出口を誤ると迷うことに

おそらく観光で来る方のほとんどは「首里城」が目的で訪れるのではないだろうか。

 

つまり入園料を払い正殿から城内部へと入り、首里城そのものを見学する。といった具合だ。 しかし実は首里城は「首里城公園」の中の一部であり、城壁内以外は「公園」と名の付くだけあって誰でもいつでも入れるものなのだ。

 

(大阪城を想像してもらえれば分かるだろう。あちらも「大阪城」と「大阪城公園」とが存在する。)

 

そしてこの首里城公園、どうしてか分からないが夜はほとんど訪れる人が少ないのだ。おそらく既に昼間に見学・観光は終えたから、いちいち夜にまで足を運ぶこともないだろう。という考えがあってのことだろう。

 

しかし首里城はお金を払って観る内部より、タダで観る外観の方が美しいと思う。また、暑い昼間に歩くより、若干涼しい夜の方が楽でもあるし何より夜は首里城がライトアップされるのだ。

 

ではそんな首里城の夜歩きを案内しよう。

 

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まずは入口から。

 

首里城公園への入口は実は沢山ある。どこから入っても構わないのだが、車などを利用し駐車場へ停めた場合は入った所から出るのが無難だろう。城の反対側に出てしまうと車を取りに戻るのは面倒くさい。

 

今回僕は首里城本殿からみて北西の位置にある「城西(じょうせい)小学校」の正門側から入ることに。

 

この城西小学校に入る道の近くにはいくつかコインパーキングがあるので、車で来るときはそこに停めるといいだろう。無断駐車はしないように。

 

さて、小学校の校門方向へ向かうと左手に上の写真のような小道が口を開いている。

 

真っ暗な龍譚池のほとりの小道、歩道灯が等間隔にポツンポツンと並んでおり入口からしておどろおどろしい雰囲気を醸し出している。

 

一応歩道灯の明るさのおかげで視界には問題のない照度だ。ただし足元が自分の影で見えなくなくこともあるので心配な方は懐中電灯か携帯のライトでもあれば充分だろう。

 

勇気を持って進んでみよう

初めての方は入口から10m位足を進めたあたりで「ここで合ってるの?」と疑心暗鬼になるだろう。だが心配はいらない。

 

むしろ心配なのはこの小道には蜘蛛が多いということ。

 

真っ暗な背景の中で、歩道灯に照らされた蜘蛛の巣が頭上や木々の間に存在する。昼間にも小道に人が通るため道上の蜘蛛の糸は少ないが、それでも歩いていると顔に糸が当たってくることがある。 この感触が苦手な方は友人なり家族なり、連れの人間を先に歩かせるのが良いだろう。

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小道は先程の地図でも見えていた「龍譚池」の半周を巡るようにして通っている。首里城へと向かう道だ。

 

両サイドを木々に囲まれて歩くこと数分。距離にして50mほどで急に視界が開ける。周りの木々が無くなり高さ約1.5mほどの石垣が右手に連なる、左手側には手を伸ばさずとも届く距離に龍潭池が姿を見せる。

 

ここは池の南側の端に位置した場所、向こう側には首里城の正殿も見える。

 

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どうやら池の住人が起きていたようだ。灯りの下でじーっと佇んでいる。

 

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こちらもじっと気配を抑えながら近づいてみる。・・・微動だにしない。

どうやら寝ているようだった。

 

ここまで来ると周辺の道路からも遠く、車などの音は聞こえない。

 

無音の中、ただ水面を眺めているかのようなこの鳥をみていると、遠く琉球の時代にもこういった風景があったのだろうか、と思わずにはいられない。

 

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小道を池に沿って進んでいくと突き当りになる、突き当たった右手には階段があるため階段を上ることに。

 

さて、この小道はここで一旦終了だ。ここから先は本格的に首里城公園内に入ったことになるためどこへ向かうかは訪れたあなた次第。さらに奥にある階段を上り首里城に近づくも良し、那覇の夜景が一望できる城壁沿いのベンチへ向かうも良し。

 

まぁそちらは時間のあるときに案内することとして、今回は城とは反対側のとある建物へ向かうことに。

 

池に浮かぶ弁財天堂へ

小道を通り階段を上ったあと、背中側の方向の場所に小さな橋がかかっている。

 

この橋の下には先程までなぞるようにして歩いていた龍譚池がある。水面近くから眺める池と、少しだけ目線が高くなった橋の上からの眺めではこれが同じ池なのか、と思うほど印象が違って見える。

 

余談だが、この橋付近の足元は石畳で出来ており場所によっては土が見えている所もある。そのためかこの付近は雨の後は非常にぬかるんでおり、足元も見えにくいため夜歩きの時には注意が必要なので気をつけてもらいたい。

 

歩くとすぐに右手側に池に浮かぶ独特の建物が見える。 弁財天堂だ。

 

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暗くて分かりづらいが下の方の暗い場所は池である。右側にある小さな渡り橋が堂へつながる唯一の道だ。

 

満月の夜などはこのポイントは非常に綺麗な風景になる、特に凪の水面に月が映ろうものなら何時間でも見ていられる。

 

夏は虫よけスプレーを、巨大ゴキが出ることも

昼間に訪れたことがある人なら、昼と夜でこんなにも違うのかと驚くことだろう。また城の夜景も然ることながら、人が居らず涼しい中でゆっくりと散策できるのが一番のポイントだ。場内に入ることは出来なくても充分に楽しめる、特に写真が好きな方には。

 

首里城公園はまだまだ広い、機会があれば色々な場所を撮っていく事としよう。

 

もしあなたが昼間の首里城にしか訪れたことがなかったとすれば、今度は夜にゆっくりと歩いてみてはいかが。

 

ただし稀に静かな景色の中をカサカサカサカサカサカサカサ・・・・ん、聞こえなかったことにしよう。

 

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