那覇のもうひとつのディープタウン、栄町(さかえまち)
1人でも呑みに行ける町、懐深く迎えてくれる
今日は那覇市安里(あさと)にある飲み屋街、栄町へ。
ここは以前にも紹介した「ディープタウン桜坂」と双璧をなすもう一つのディープな町・・・
桜坂を西の魔境とするならば、こちらは東の魔界村。通りで構成されている『線』の飲み屋街桜坂とは対照的に、1つの区画が栄町と呼ばれる一帯で、『面』で構成された飲み屋街とも言える。
ただしこちらの栄町、今や桜坂とは全く異なる方向性をもって成長している町なのだ。
老若男女・人種・信条・一切不問
最初にこの栄町がどういう所かザックリと説明しよう。
まず栄町の中心はなんといっても市場である。栄町市場だ。
こじんまりとした市場ながら精肉鮮魚青果店はもちろん、服屋や雑貨品店、化粧品店などなど、よくもまぁこんな狭いところにギッシリと入ったもんだ・・・いや詰め込んだもんだ。
市場は東西南北から入ることができ、北口や西口などそれぞれに名前がついている。
が、おそらく初見で入口を発見することは困難だろう。それほどまでに狭い。
『市場』と名はついているが幅員1m少々の小道がうねうねと走り、おろらくアジアの市場でもこんな狭い道で構成されているのは中々無いと思われる。
中に入るとまさに迷宮・・・市場自体の大きさは小さいので少し歩くとすぐ外に出ることができるが、ここで子供とはぐれようものなら小一時間は見つけられない。
そんな栄町市場を取り囲むように、ここには大小ならぬ『小小』様々な店が立ち並ぶ。
すいません、栄町の中心に市場を紹介しましたが中心となる施設。という意味です。地理的な中心部はこの栄町ロータリー、全くロータリーではないがおそらく昔はロータリー道路だったのでは・・・。
店・店・店
さて、この様々な店・・・本当に色んな店がある。
まず居酒屋。とにかく多種多様な店が立ち並ぶ。
てんぷら・おでん・焼肉・焼き鳥はもちろん。イタリアン・フレンチ・タイ・韓国料理などなど。基本的にはリーズナブルに済ませることが出来るが、中にはホテルで食べる料理のような物凄く凝っていて美味しい店もある。
またバーも豊富にあり、リアル隠れ家となりうるバーも・・・。
栄町と呼ばれる地域に一体どれだけの飲食店があるのか・・・その中には10人も入ればいっぱいになる立ち飲み屋など、全くスタイルもジャンルも異なる店がここには沢山ある。
それからスナック店。はっきりいって場末のスナック(がそれがまた良し)
酒で焼けまくった声を張り上げるママ、元が何色か分からないくらいタバコの煙で燻されたソファ、カウンターにはなぜかバナナやリンゴなどの果物。
まだまだ現役で営業中だ。
そして何といっても『旅館』
たまたま道に立っていたオネーサンに一瞬で一目惚れ、声をかけると偶然にも上手くいき。なんと目の前には旅館が、凄い偶然。
しかも旅館の女将が部屋を分単位で貸してくれるというではないか。お言葉に甘えること15分。・・・え?短い?じゃあ30分で。
オネーサンとの一戦が終わる、と儚くとも短い出会いは終わりを告げる。まだ仕事終わってないから早く帰ってネ だとさ。・・・短かったとはいえ、お世話になったお礼にチャリンチャリン・・・。旅館を後にする。
毎日『自由恋愛』が飛び交う町。それも栄町のもう一つの顔。
艱難辛苦を乗り越えて今がある
実はこの栄町、以前(数十年前)はその名の通り人も多く栄えていた場所だったそうだ。
しかし街は生き物。
那覇も様々な変化を繰り返す中、しだいに栄町から人の姿が消えていき一時は凄く寂れた町になってしまった。
そんな栄町を活性化させようと栄町振興組合が様々な改革や運動を開始、今では観光客まで栄町に来るように・・・。
(なんたってオバー3人組のラッパー「栄町市場おばぁラッパーズ」までいますから)
そして栄町の夜はここ数年で本当に変わったと思う。
週末ともなれば若者や女の子までが繰り出すようになり 、道路から丸見えの場所でも女子会などをしている。本当に驚きだ。
以前ならば曜日なぞ関係なし、年金や生活保護費の支給日に活気が沸き、右も左もジジイとオッチャンしかいなかったのに。
しかし今また面白い変化が起きているのが分かる。
この、元々居た方々が少し窮屈になっているように思えるのだ・・・
再・発展途上ゆえ・・・
発展著しい居酒屋や料理店とは対照的に、昔からあるスナックなどはまだ現役とはいえやはり店舗数は減っている。
なんといっていいか表現が難しいが・・・以前より明るいのだ。町が。
町に活気が戻ってきている証しでもあるが、おそらく元居た常連の方々はあまり良くは思っていない。
事実以前よりもオッチャンオジーチャンの姿が少なくなっている気がする、特に居酒屋で。
おそらく居酒屋のジャンルが変わったせいだろう。前は本当の意味での『居』酒屋であり、店主らと話をしたりしながらドッシリ腰を落ち着かせ、時に客同士で盛り上がる。こんな風景をよく目にした。
今はレベルが物凄く上がってしまって、ほとんど『レストラン』といってもいいくらい。少し入りづらいのだ。
もちろん昔ながらの居酒屋もまだあるけど・・・
心配無用。居づらくなれば居なくなるだけ
が、もしそういった理由で栄町を去った人がいても大丈夫。
桜坂に流れていくから。
ディープな町にはそれなりの受け皿がちゃんとある、明るくなれば暗い所へ移動すればいいだけ。深みにはさらに深みがあるのだ。
おわりに
グダグダと書いたが、現在の栄町はまだまだ新旧織り交ぜて発展している途中だ。そういった意味ではもうここはディープタウンというよりローカルタウンといった町だろう。
(ディープ < ローカル < メジャー といった具合か・・・)
また夜でなくとも昼は沖縄そばやヤギ汁のお店もある、が早朝に歩くと高確率で泥酔し道で寝ているオッチャンにエンカウントしてしまう、よく見るとオバハンだったり。ご注意を。
今回はざっくり、しかも勝手な私見を散文したが、栄町は僕が好きな町のひとつなので機会があるときにでもじっくりと色々お店を紹介したい。
【この記事を読んだ方はコチラも多く読まれてます】