そうだ、座間味へ行こう。その2
集落を巡りつつ海へ向かう
何もない。こともない
さて、民宿をでてカメラと釣り竿を持ち海へ向かう、外は依然として太陽が照りつけていて沖縄独特の亜熱帯気候の暑さだ。
汗が滝のように流れ出るが、なぜか座間味の中にいると不思議と気にならない。那覇のように人混みがない環境だからだろうか、周りを気にする必要もない。たまに歩いている人にも会うが問題ない、向こうも汗だくだから。
民宿のオジーから何もないのにどうするのねーと声をかけられていた、うん。確かに何もない(笑)
というか沖縄人の僕にとっては何もないと感じるだけであって、石垣で囲まれた古民家や所々に鎮座しているシーサーなどは内地からの観光客にとっては珍しく、それだけでも見る価値はあると思う。
それでも集落は田舎を思わせる素朴な造りの建物でいっぱいだった。
もう沖縄には赤瓦の屋根の木造住宅はほとんど見当たらなくなっており、県や市などは助成金制度をもうけたりして保存に力を入れているくらいだ。
そんな赤瓦の木造がここ座間味にはまだまだあった。懐かしさを感じながら歩いていくと海に着いてしまった、実はフェリーの乗船中に見えていた浜に行きたかったため目的地の海は決まっている。
海岸線をぶらぶら
集落から海にあたると左手側にその目当ての浜があるはずだったので、あえて右手側に向かってみた。
歩いてすぐに腰まである雑草の中に突入。以前踏みならされていた跡がおぼろげながら残っているものの、夏の太陽を浴びた草々が猛スピードで成長しているのか足跡の道を覆い隠そうとしている。
ハブ出たらどうしよう。
以前こういった雑草の中を歩いているとき、足元を注意しながら歩いていると踏み出した足と足のあいだをシュルシュルっとハブが通りぬけていったことがあった。ウチのオジーなんてウージ畑(さとうきび)の収穫中に突然ハブが飛びかかってきて攻撃され、眉間を思いっきり咬まれたことがあった。
すぐに病院にいったため無事で済んだ。どうだった?と聞くと「痛かった」と一言。前にくるぶしを咬まれたときより痛かった、とのことだった(笑)
前にもあったんかよ。
無駄に心配をしていると雑草群も開けて道が見えてきた。
よく見ると雑草の奥に打ち捨てられた船が数隻。
台風で打ち上げられたのか、ただ捨てられているだけなのか・・・。時間が経っているのがわかるほど周りの景色に覆われている。
うーん。これ以上進むとお目当ての場所へ行く時間が無くなってしまうので引き返すことにした。
さきほど右手へと進路を決定した場所まで戻り、左手側へ。進むとこちらはさっきとは違い大分進みやすい。同じ様な雑草は生えていたが踏みならされた跡がまだ新しい。
15分位歩いたかな?おそらく船から見た景色の浜に着いた。
船から見た目線とは違い、海岸線を実際に歩くとまた違った見方ができる。
左手に山、右手が海。その境目を分けるかのように中心線に砂浜がある。こんなに綺麗な環境なのにここまで誰ひとりとしてすれ違うこともなく来れたのが驚き(笑)
こんな暑い状況ではいないか・・・沖縄の人は昼間は歩かないのである。元々歩かないけど(笑)
釣り開始
ルアーを投げながら歩く
そうだ釣りもするんだった、と準備に入る。こいった離島でぶらぶらしながらの釣りはルアー釣りに限る。
仕掛けも単純だし道具も少ない、とりあえず10個くらいあるルアーの中からスプーンを選択。沖縄でのルアーの王道中の王道のルアーだ。
以前このブログでも少し触れたが、ルアー釣りというのは「魚を食べる魚」フィッシュイーターと呼ばれる魚を対象とする釣りだ。
沖縄での磯からのルアー釣りでのターゲットはガーラ(和名アジの仲間)が一番だろう。群れで回遊するため一度連れ出すと数匹はヒットする、その一度がなかなか難しいのだが・・・。
海の活性をみるためとりあえずキャスト。
2、3回投げては巻き。投げては巻き。を繰り返す。
後方の山からのセミの鳴き声がルアーが海面に落ちる音をかき消すほどの大きさだ。ルアーにアクションをつけながら少しづつ移動し投げていく。
5分も経たないうちに足元まで引き寄せたルアーに何かがヒットした。
こいつは・・・エソ。である。
沖縄のルアー釣りでの代表的な雑魚(笑) どの海岸にも存在し岩場の影から動くものを捕食する小さくても性格は凶暴な魚。このアングルからは分かりづらいがトゲトゲしいノコギリ状の歯を持ち、近くで見ると結構強烈。
食べられないこともないが今日は全てリリースする予定だったので即リリース。とりあえず魚の活性があるのは確認できた、といってもエソだけど。
実はこのあとこの場所であと2回もエソが釣れた。合計3回目となるエソのときに気付いた・・・。 あ、同じやつだコイツ(笑) 証拠があるわけではないが3回とも間違いなく同じエソ。そうだった、毎回釣り人からリリースされるコイツらは毎回ルアーにアタックするんだった。
ドキっとする瞬間
移動しよう。そう思い砂浜をあるきながらポイントを移動。エソは岩場沿いに多くいるのでなるべく障害物となる岩から離れたところにルアーを投げる。
が、10分ほど様子を見るがアタリもなし。
もう少し歩いたところに風を背にして海面が穏やかな場所を発見。おお、いかにもな雰囲気だ。
ルアーをポッパーに変え、追い風を利用し投げる。こういった浅い海では有効なルアーだ、それにルアーアクションが見えるし音も聞こえるため投げていて面白い。魚が喰ってかかる瞬間が見れるのもポッパーの魅力の一つ。僕が一番好きなルアーだ。
ガボッ・・・・・ガボッ・・・・・。ポッパー特有のアクション音がセミの声に負けじと海面から音を出す。
ほぼ凪の海面を波紋を伴いながらルアーが走る。スプーンのようにタダ巻きと呼ばれるノーマルなリトリーブではなく、ポッパーでは1、2回海面を叩くようにルアーを進め3秒ほど止める。上記のような音が出るのはそのためだ。
そして魚はこのルアーを止めたタイミングの時に喰ってくる。イカ釣りのエギングのときも同じでエギが動きを止めた時にイカは抱きついてくる。弱った獲物が力をなくした瞬間を狙っているのだろう、本能とは凄いものだ。
ポッパーに変え10分ほど投げるもアタリ無し。
うーん、ここも場所を変えようかな・・・と思った瞬間、ルアーのすぐ傍の海面が盛り上がり銀色の体をした魚がひるがえるようにポッパーに喰ってきた!
きた!そう思ったがまだあわせない。ポッパーというルアーは他のルアーとは少しアタリへの合わせ方が違うのだ。
いわゆる「向こうアワセ」というやつで、しっかりと喰わせてから竿を合わせなければ、針が確実に口に刺さらない。ルアー初心者の頃はよく空合わせになってしまい、ポッパーだけがこちらへ飛んでくる。ということも良くあった(笑)
時間にして1秒ほど合わせるのを待つ。この1秒を我慢できるかどうかが結構難しい・・・
ガッッ!竿に重さがかかる。 よし、乗った!デカイ!
竿を立てしなりを確認しリールを巻き上げる。
と、その瞬間。 パーンッ・・・・・竿が元の位置へしなりを戻しながらハネ返った。
ア・・・・切られた。 ラインが切られルアーごと持ってかれた。 竿先からヒョロヒョロと重さを失った風に流れるラインを見ながら凹む・・・・。
何度も味わった経験があるが何もこんな時に・・・。推定だが40-50cmはあったと思う、たぶんガーラかな。
バラしたショックもあるがお気に入りのルアーを失くしたショックも加わり釣行は終了することに。気づけば1時間強は釣りをしていた。竿とルアーをしまい、来た道を引き返す。まぁいいや、次こそは 必ず。
次回へ続きます