そうだ、座間味へ行こう。その3
そして夜へ。
セミの鳴き声はまだ止まない
気が付くと陽も水平線の向こうに沈みかけていた、歩いて帰路についている自分の影が、来た時よりも随分と伸びていることに気づく。
フェリー乗り場の港を通ると港内で釣りをしていた夫婦と思われる50歳前後の男女がいた。同じく釣竿を持つ僕に ニーサン何釣ったのー?とひと声。
全然ダメだったと伝えると日焼けとシワの混じった顔が笑顔になる。こんなの(ルアー)で釣れるのかねーアハハハ(笑) 余計なお世話である。
それは冗談でやはり島の慣れた人らは違う。夫婦のクーラーボックスには数十匹の魚が入っていた、おそらくミジュンとか小さいガーラとか。
手のひらサイズの魚を唐揚げにして食べるのだろう、小物でも充分に夜のおかずや酒の肴になる。もっとも合理的でローコスト、しかも確実性のある釣りだ。
カゴ釣りと呼ばれる釣り方で、握りこぶしよりも小さな網目状になった四角のカゴにオキアミを入れ、その下にサビキと呼ばれる小さな釣り針をつけた仕掛けを合わせる。
海中に投入し竿をシャクリ上げるとカゴの中のオキアミが海中に散り、集まってきた魚がサビキの仕掛けにかかる。というものだ。 カゴ釣りはこういった小物狙いにも使用できるし、仕掛けのサイズを大きくすれば大型のタマンや回遊魚なども狙うことができる。
この夫婦はおそらく毎日来ているのだろう・・・こうやって日没前に魚を釣っては食べられる分を釣って帰る。これが釣りの原点だと思う。
1匹もらうねー?と言われたが持ち帰る手段がないため断ることに、2人を後に民宿へと足をすすめる。今日は民宿の老夫婦から借りたBBQコンロでBBQをする予定だ。
と、歩いていると携帯が鳴った。
仲間からで、BBQの前に今から居酒屋で呑みに行くという。 今から炭をおこしたりするのが面倒だからその前に腹ごしらえをしたい、という意図が受話器の向こうからテレパシーで伝わってくる。
夜はこれから深まる
進路変更、居酒屋へ。といっても場所が分からないため電話をしながら道案内をしてもらった。
着くとそこはどこにでもあるようなローカル居酒屋。あー・・・こういう雰囲気最高。ガラガラと引き戸を開けるとすでに仲間達は入店したあとだった。
客は僕らだけ。
無駄に広々とした居酒屋のさらに奥の広いタタミ15畳はあろうかという大部屋に案内された。
部屋の奥には50型くらいの液晶テレビがあり、民放のチャンネルが放送されていた、ちょうど床の間を思わせるその場所には茶色くくすんだオリオンビールののぼりや、空になったビールケースなどがあり少々物置と化していて、テレビの左側には高さが1メートル以上ある黒のラックもあった。
カラオケも出来るよ〜。ビールを持ってきた店主が自慢げに入ってきた。
やる、やらないの有無を言わせずテレビの横のラックを操作し始めた。(あれカラオケ機だったんか)
急に流れだす民謡、テレビのボリュームを絞る店主。え?画面はそのまま?
とツッコミを入れるか入れないかの瞬間に店主がマイク両手に歌いだした。
なるほど、そうきたか。沖縄のローカルスナックでも似たような経験がある、ファーストソングはママさんから。
1曲を終えると、好きに使ってていいからねーと去っていった。言われた手前、無音状態が続くと気まずくなると思ったので1人1曲歌った。思いのほか盛り上がったのが楽しかった。
BBQ
あまり飲みすぎてもアレなんで1時間ほどで退散することに。歩いて民宿へと移動する。移動途中で花火をしている男女6人くらいのパーティーを見つけた、恐らく僕らとは別の便か高速船で来てたのだろう。メチャクチャ楽しそう・・・
が、こちらのヤローばかりの集団に対し明らかに警戒している。
しかたがない、うち1人は一眼レフを首にひっ下げ釣り竿片手に歩いているのだから・・・。
民宿に戻ると何とオジーが炭おこしをしていた!何から何までアリガトウ。パチパチと燃える炭を見ながらビール片手にBBQ開始。
そこから先はカメラも置いてドンチャン騒ぎ。あんま覚えてません。。。
いつの間にか夜も更けていきました。
2日目。相変わらずの晴天快晴
さてどこへ行こう
物凄い眩しさで目が覚めてしまった・・・カーテン開けっ放しで寝ていたため直射日光直撃である。セミも変わらずの大合唱。
今日で座間味の旅は終わりだ。昨日のBBQの片付けついでに、部屋の中も掃除機をかけた。余ったビールと酒はオジーにあげることに、オリオンじゃなくキリンだったことに少し抵抗が感じられたがありがとうねーと言ってもらえた。
さて、民宿をあとにしたが何をしよう。
フェリーまでの時間がまだあるのだ・・・とりあえずどっかのビーチでも行くか。ということでどっかのビーチに行った。
どっかのビーチ。非常に綺麗
何が面白いって1Kmはある砂浜を親子2人だけが貸切状態。
そういえば、たまに観光で来る内地の友達に「誰も知らないような綺麗なビーチに連れてって!」って言われたので地元の人間しか知らないようなローカル色100点の北部のビーチに連れて行ったとき
写真のような状態になっていて数キロの海岸線を独り占め。最初のうちはウワー最高ー!とテンションマックスで入水するもしばらくすると。なんかつまんない。と愚痴をこぼし海から上がる。
つまり内地の有名なビーチのように、人が多くて海の家などの施設があって音楽もかかって・・・という楽しさを演出するものが一切ないと、どんな綺麗な海でも意外と楽しめないものだということが良くわかった。
この写真の親子がどうかは知らないが、海には全く入らず子供は砂遊びに夢中であった。ま、海なんて誰がどう遊ぼうと自由だからね。
最後まで夏らしい座間味の旅
フェリーの時間はまだまだだったが、することもないので港へ向かうことに。港では各々が自由行動、僕は歩いてすぐの商店でかき氷を食べることにした。
商店の中で食べることもできたが、せっかくなので座間味最後の海を見ながら食べることに。
かき氷の赤と空の青さが絶妙なコントラストだ。などとありきたりな事を思いながら写真を撮ったらこの直後ハチに襲われた。追い払いながらも必死にかき氷は食べきった。
店の中で食えばよかった・・・。
さらば座間味島。また来るよー
見覚えのある船が入港してきた、昨日乗船したフェリーざまみだ。
あれからたった1日しか経っていないことに驚きだ、フェリーでは甲板から乗客がこちらを見ている。
いつの間にかあの警察官も来ており、昨日と同じように甲板の乗客を見上げていた。
乗船後は旅の疲れと、疲れと、疲れで泥のように寝た・・・。
気付くともう船は接岸の準備に入ろうとしていた。
おぉ・・・もう着いた。早い、よく寝たー。と思ったら途中に寄港する阿嘉島だった。
まぁいい、次は阿嘉島も訪れよう。さよなら座間味島、また来るよー